資産価格の上昇が続けば金融引き締めへ・澄田智元日銀総裁の懺悔他

2020年12月30日

1.資産価格の上昇が続けば金融引き締めへ・澄田智元日銀総裁の懺悔

異次元緩和により長期金利が低下し、長短金利差がなくなり銀行経営が苦境に陥っている。一方、異次元緩和による資金ジャブジャブで日米株が急騰し、ビットコインも急騰している。

世界の中央銀行は、資産価格の急騰に対処するため、遅かれ早かれ金融緩和をやめ、政策金利を上げていかざるを得ない。世界の中央銀行は「バブル時、引き締めが遅れたことで30年間を失った日本」を見て学習しているからだ。

以下、澄田智元日銀総裁の懺悔「確かに87年ごろから東京の地価は2ケタの上昇率を示し、株価もかなり速いペースで上昇していました。それなのに金利引き上げを実行しなかったのは、後から考えると、認識が不十分だと答えるしかありません。(中略)ただ、土地や株、それに書画や骨董と言った資産の価格だけが急激に少々している意味を早く見抜けなかったことについては、私がその責めを負わねばならないと思っています」(「バブル」日経BP社)

ちなみに、私は、この時、澄田総裁をはじめ日銀に「CPIのみに目を囚われて資産価格の急騰を見過ごすと取り返しのつかないことになる」と強く警告をし、国内、海外にも危ないと発信をしていた。その警戒心があったからこそ、JPモルガンはバブル崩壊で全くダメージを受けず、(逆に利益を上げられた)日本で唯一の金融機関だったのだと思っている。

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO67808980Z21C20A2NN1000/

 2.資産インフレでも日銀は金利引き締めが出来ない・計画経済の終焉

お金がジャブジャブなので、コロナ禍が収まれば、資産価格の高騰は続くだろう。世界の中央銀行は引き締めに入る。しかし、日銀は引き締めが出来ない。政策金利は上げられないし、長期金利が上がるのを必死で食い止めようとするだろう。

政策金利が上がったり、長期金利が上昇したりすると、日銀が大幅債務超過になってしまい、円が暴落してしまう(=ハイパーインフレの始まり)からだ。世界の他の中央銀行と真逆の政策を取る。しかし、そんなことは長くは続かない。長短金利差拡大で、円が急速に安くなり、資産インフレどころが(CPI)インフレも加速していってしまうからだ。コントロール不能になる。こうして日銀が思った通りに市場をコントロールしてきた日本の計画経済は終わりを告げる。「失われた30年」とは異次元の地獄が始まる。もっとも、ハイパーインフレで国民の財産がほとんど政府に移行し(=究極の財政再建)ゼロからのスタートになるので、どん底からの回復の時間はそう長くはかからないだろう。政策ミスのコストは大きい。