「FRBは低金利政策を約束通り継続できるのか?日銀は大丈夫か?」「長期金利の上昇は早い」他

2021年01月11日

1.「FRBは低金利政策を約束通り継続できるのか?日銀は大丈夫か?」

世界中の株、ビットコイン、原油、金属等が力強く上昇しているのに加えて米国長期金利が上昇を開始した。10年モノ米国金利はついに1.119%までの上昇。まさに金余り相場である。インフレ予想相場ともいえる。日本が⒚85年から90年までの資産バブルを放置し、金融疋嶋が遅れたことにより、その後の30年を失ったことを熟知しているFRBがこのまま、金融を引きしめないでいられるのだろうか?市場が予想しているよりかなり早く引き締めに戻さざるを得ないのではなかろうか?市場がそれを予期すれば、長期金利の上昇はさらに加速する。金利を引き上げると倒産状態に追い込まれるため引き上げられない日銀と円には危機が訪れる。米国長期金利の動向は極めて重要だと私が言い続けている理由だ。

2.「長期金利の上昇は早い」

長期金利の上昇(=国債価格の下落)が明確になれば、長期金利上昇の動きは速いだろう。簿価会計時代や先物市場が発展しなかった頃のスピード感でマーケットの動きを予想していると悲惨な結果となる。長期国債の保有はまずい。私がトレーディングの世界にいたら、今頃、日米市場での国債先物の売りの大勝負をしていただろう。先物市場が存在しなかった頃は、売りで儲ける手段がなかった。簿価会計時代には損切りをすると、それまでの損が一気に実現するので、損切りを躊躇する機関が多かった。しかし時価会計が徹底している今の西欧では、躊躇はない。損切りで計上する損は昨日価格との差でしかないからだ(=昨日までの損は昨日までに計上されている)。しかも時価会計だと現物を売っても、価格が下落すれば、買っている時と同様に儲かる。時価会計が徹底していた米国が、リーマンショックからの回復が日本よりはるかに早かったのも(地銀月報にそういう論文を書いた)、バブル時の日本経済の回復が30年もかかったのも簿価会計のせいだと思っている。

3.「不特定多数にPCR」

これは重要。ワイドショー等で国民が必要以上に不安感をあおられているのか、本当に怖がらなければならないのかがわかる。インフルエンザ同様、コロナワクチンはパンダミックを抑えられても、コロナが撲滅されることはないだろうから、通常生活に戻る判断指標としても重要となろう。この記事にあるように、今、陽性者の急増にもかかわらず国民の間で警戒感の低下が起きているそうだ。それはうなずける。感染者がどんどん多くなり、死者がそれほど増えていない(=分母だけが多くなっている)ので致死率がどんどん低下しているからだ。罹っても死なないや、と思えば国民の間での警戒感は低下するのはもっともな話だ。昨日の日経によると東京都の感染者累計は7万4944人で死者685人だから0.9%。昨日の東京の感染者は1494人、死者は3人だそうだから、致死率は0.2%。感染者がごく少なくても、罹ったら必ず死ぬと思えば、政府やマスコミが警戒警報を鳴らさなくても人々は自衛で家にひきこもる。マーケットで言えばテールリスクだ。我々マーケットのリスクテーカーは、多少リスクがあっても結果がそれほど悲惨でなければ無視するか、またはリターンのためにあえてリスクを取るが、テールリスク(起こる確率が低くても起これば悲惨な結果を伴うリスク)への対策は必ず行う。https://www.nikkei.com/article/DGXZQODF07A940X00C21A1000000/

4.「昨日はテニス、英語論考書き、金融学会でアドバイス」

昨日は朝、テニスをしてから午後は相撲を見ながら世界的に権威ある経済誌「The International Economy」の原稿書き。英語の原稿書きは大嫌いなのだが、一昨日、テニス仲間であり、かつ小学校から高校までの5つ先輩の元駐某国大使に「エッ、藤巻君 The International Economy に寄稿を依頼されているの?そりゃ、尊敬するわ~」と言われたので、がぜんやる気になったのだ。午後3:15分から1時間は所属する日本金融学会がzoom で開催した「若手研究者の金融セミナー」に参加。研究者には非常に頭のいい人が多いのだが、金融は実学としての意味合いが強い。机上の学問だけだと、現実離れした理論を追いかけせっかくの優秀な頭脳が無駄になることが多々あるので、実務家からのアドバイスをするつもりで参加した。

(今は知らないが)、金利スワップの(IRS)萌芽期、学問の世界ではIRSを長期金利と短期金利の交換としかとらえていなかった。だから研究者が理解できないことが起きる。それゆえいろいろな質問をもらった。しかし我々、トレーダーはIRSを長期金利商品としてとらえ、トレーディングに使っていた。その観点の方が萌芽期にはより重要だったのだ。ちなみに将来、日本が均衡財政に戻り、国債発行が急減するようになれば、長期金利の主たるトレーディング手段(言い換えれば日本の長期金利の指標)はIRSに戻るだろう。