「イールドカーブのベア・スティープニング化」「国債発行額、3倍増の重荷」他

2021年01月22日

1.「イールドカーブのベア・スティープニング化」

最近、米国10年国債の金利上昇が一時的に止まってはいるが、イールドカーブのベア・スティープニング化は着実に進んでいる。この1か月で1年モノ+1bp(+0.01% ),5年モノ+7bp、10年モノ+17bp,30年モノ+20bpだ。これはマーケットが将来の金利上昇を読みこみ始めていること、米長期国債が上昇し、日米金利差が広がると、ドル高/円安の強烈な要因となること。(イールドカーブの形状は何を予想するのか?なぜ日米金利差がドル高・円安を誘導するのか?ヘッジファンドは日米金利差拡大をどのように儲けに結び付けるか?等の詳しい説明は1月27日発売の「藤巻健史の資産運用大全」(幻冬舎新書)をお読みください)

藤巻健史の資金運用大全

2.「国債発行額、3倍増の重荷」

本日の日経新聞「大樹小機」。きわめてまともな内容だ。「ただし、正しい政策運営は、このような危機に適切に対応することができるように平時にしっかりと財政の健全化を進めておくことだ」「もともと悪かった財政状況はさらに悪化した。しかし日本の財政は大丈夫なのか、という問い自体がコロナ禍の前に沈黙しているかのようである。(略)日本経済は大きなリスクを抱えたまま走り続けているだけである」ただ危機のトリーガーの想定は私とは違う。筆者のペンネーム・与次郎氏のそれは巨大地震だが、そんな不確定なものや先々のものでもないと思う。目の前に迫っている日銀の債務超過、だ。国難が今、目の前にある。自衛しない能天気な人は大変なことになると私は思う。

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO68397030R20C21A1EN2000/

 3 「コロナワクチン」

この数日間、やっと世界から遅れていたワクチン確保のニュースが出始めた。「世界に比しコロナ患者が多くないのだから副作用が無いことを確認してからの方がいい」との意見が散見される。それも一理あるが、それなら「非常事態宣言発令」はないだろう。非常事態なら首相は、ネタニヤフ・イスラエル首相のように「国民のためにワクチンを一つでも多く」と海外を飛び回っているはずだし、国民も争ってワクチン接種を求めているだろう。そうでないのは国民も政府も日本が非常事態にあるとは思っていない証拠だ。だから「非常事態宣言」を出しても、人出はそうは減らない。「自粛・自粛」ではなく「ワクチンを早く打って、打った人から早く社会復帰いたしましょう」が政府の方針であるべきだと私は思うのだが。経済を殺さなくて済む。