「WTI原油先物1バレル70ドル超え」「ポークショック」他

2021年06月09日

1.「中国発インフレは来るか」

この記事中の英ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのチャールズ・グッドハート名誉教授の以下のコメントは、中国より日本への警告として、より重要だ。なお、日経新聞いわく、教授は「長く英イングランド銀行の顧問を務め理論と政策の実務を熟知する第一人者」だそうだ。「人手不足で賃金や物価は上がる。社会保障費の膨張で財政も傷むが、増税は政治的に難しい。そこで政府はインフレで実質的な債務の減額を狙う」。名誉教授の主張通りであれば世界段トツの借金額となった日本ではインフレでは収まらず、ハイパーインフレで実質的な債務の減額を狙うことになる、が当然の帰結。実際、日銀が異次元緩和という財政ファイナンスを開始し、日本はその道を驀進中である。https://www.nikkei.com/article/DGKKZO72716110Z00C21A6EA1000/

2.「中国は「働き手人口の減小により人民元高を通じて「世界の工場」の地位を失うだろう」

この日経新聞の記事は「働き手の人口減で『世界の工場』の賃金が上がり、各国の物価を押し上げるリスクがある」という趣旨のようだが、短期的にはその通りかもしれないが、長期的には中国は「働き手の減少で、他の東南アジアに世界の工場の地位を奪われる」ことになると私は思っている。日本は1ドル360円時代から、円高が進み競争力を無くし、「世界の工場」から陥落した。米国の円高要求を受け入れたのは、米国の言いなりにならざるを得なかった国際情勢もあるが、円高が日本にとってのメリットがあるという事情もあっただろう。完全雇用状態だった当時の日本でインフレを抑えるのは通貨高しかなかった。

一方、日本の失敗を見ていた中国は、米国の度重なる人民元高要求にもかかわらず、お茶を濁す程度で人民元高を防いだ。1980年に1人民元160円したものが、今やたったの17円という、ものすごい人民元安だ。これなら「世界の工場」になるのは当たり前、中国が米国の言いなりにならなかったのは軍事力のせいもあるが、完全雇用とは程遠く、インフレを抑える人民現高を必要としなかったせいでもある。しかし、現状のように、働き手の人口減となれば、インフレを抑えるために、いずれ人民元高を容認せざるを得なくなる。それによって「世界の工場」の地位を他国に譲る」と私は思っている。

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO72716110Z00C21A6EA1000/

3.「ビットコイン法定通貨化」を提案したエルサルバドルの大統領の考えは決して突飛ではない。

エルサルバドルのビットコイン法定通貨化に関し、新ニュースメディア「サキシル」からインタビューを受け、記事の中でコメントを載せていただいた。編集長の新田さんからは、「藤巻さんのたとえが実に秀逸。なるほど!信長の楽市・楽座なのか」とのお褒めのお言葉をいただいた。要は、すでにドルを法定通貨にしている国では、通貨発行権の喪失、金融政策の制限など政府の既得権益を新たに失うことは無い。そうであれば、ビットコインによって、「人、商品、金」を回すことのメリットの方が断然大きい。それが織田信長の思想と同じだと申し上げた。私はつねづね、「世界で15億人いるという銀行口座を持ってない人は、決済システムを持っていないがゆえに、世界貿易から排除されている。それ等の人々を世界貿易に取り込めるのが暗号資産だ」と言っているが、多くの国民が銀行口座を持っていないエルサルバドルでは、その理屈を国内に応用したといえよう。エルサルバドル大統領の発想は決して突飛なものではなく合理的なのだ。https://sakisiru.jp/3769

 4.「WTI原油先物1バレル70ドル超え」

WTI原油先物ついに1バレル70ドル突破。

 5.「ポークショック」

先日はウッドショックという言葉が出ていたが、今度はポークショックという言葉の出現。円安を通じて輸入インフレで米国のインフレが日本に波及すると思っていたが、円安にならなくても直接的に需要過多で日本での価格上昇を起こす商品も多くあるようだ。円安が進めば、もっと大変。景気回復が遅れる日本はスタグフレーション(不景気下のインフレ)のリスクが出てきているのかも。https://www.nikkei.com/article/DGKKZO72708690Y1A600C2QM8000/