「量的緩和縮小、11月中旬にも着手へ FOMC9月議事要旨」「コロナ禍、ドル調達に課題 邦銀の外貨資金繰り 日銀リポート」他

2021年10月14日

1.「量的緩和縮小、11月中旬にも着手へ FOMC9月議事要旨」

今朝の日経新聞朝刊には間に合わなかった電子版のニュース。昨晩のNY 市場は十分に織り込んでいないだろう。今晩のNY 市場はこれを織り込んだ動きとなるだろう。このニュースで、この金利レベルで長期債を購入する人の気が知れない。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN13DNG0T11C21A0000000/

 

2.「放漫財政のツケ」

「経済同友会の桜田代表幹事が、矢野財務次官の雑誌寄稿について「『書いてあることは事実だ。100%賛成する』と述べたことに関し、私のFB に「大増税に賛同する奴等か」とのシェアが来た。私の回答は売以下の通り。「「では貴兄は踏み倒し(=ハイパーインフレ)をご希望ですね。これまた、餓死の危険もある地獄ですよ」

私は「小さな政府で低い税金」論者だ。しかし、すでにばらまいてしまったものは回収できない以上、大増税か踏み倒しか選択の余地はない。なにせ、もう払っちゃったのだから。だからいつも放漫財政はだめだと言っているのだ

 

3「コロナ禍、ドル調達に課題 邦銀の外貨資金繰り 日銀リポート」

新型コロナウイルスの感染拡大で金融市場が動揺した2020年3月にドルの資金繰りが逼迫したことのレポートを日銀が出したとのこと。あの時は、中央銀行が協調してなんとか乗り切ったが、世界、特に日本でドルが逼迫する可能性があることの証左だ。ましてやX デイが来た後では円の価値暴落でドルなど手に入らなくなる。そのことを頭に入れておく必要がある。

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO76609160T11C21A0EE9000/

 

4.「『銀行はドル預金を増やす取り組みが重要』ならば『税制を変更せよ』」

前述の「邦銀 ドル調達に課題」という日銀レポ――トでは、邦銀は「市場変動時にも流出しにくい預金を増やす取り組みの重要性が改めて認識されている」と指摘したそうだ。私が議員の時、銀行協会の担当者(**銀行からの出向者だった)を呼んで「ドル預金を集めたいのなら、税制変更を金融庁に要請しろ」と教えてあげたのに、彼らは、なんのアクションも起こさなかった。こりゃだめだ、全く収益には興味を示さないような人材が銀行協会への出向者になるのだな、と私は思った。JP モルガンの私の部下だったら、怒鳴りつけたところだ。収益の面で邦銀が外資に負けるのは当たり前だと思った。

外貨預金の為替益は総合課税だ。これが外貨預金が集まらない最大の理由だと私は思っている。1ドル=100円が1ドル=1000円になり900円の儲けがあれば、その900円に総合課税の税率がかかる。一方、損すれば何の補填もない。

Xデイが起きた時など為替益で、ほぼ全員に55%の税率(所得税+地方税)が適用されるだろう。ドルを持っている人は名目上、全員とんでもない大儲けだからだ(物価も急騰しているので実質的に大儲けとは言えない。物価急騰についていけるだけ)。そんな商品誰が買うか?

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO76609160T11C21A0EE9000/

 

5.「為替益は20%の源泉分離譲渡所得でいいはず」(暗号資産の税制ロジックと同じ)」

以下、銀行協会の人に教えてあげたのにアクションを起こさなかった内容。

ドル預金の為替益が総合課税なのは雑所得に分類されているからだ。

雑所得とは「他の所得分類に属さなければならない」という法律の立て付けなので、それを証明するのは国税側にある。

ところが、租税法の権威、金子宏東大名誉教授が、私が議員の時に「租税法23版」で「暗号資産、為替の益は譲渡益対象項目の可能性も」と変更されたのだ。それを否定する国税当局は大変だぞ、税法上全く通用しないのならともかく、租税法の日本の第1人者が認めているのなら、どの税制を取るのが日本の将来にとって一番いいかで決めるのは政治家の役目だ、というのが私の参議院時代の私の主張、今は犬の遠吠え。このロジックで暗号資産と外貨預金の為替益の税制変更を主張していた。

 

 

6.「某新聞社幹部だった方からFB にいただいたリツイート」

某新聞社幹部だった方からFB にシェアをいただいた。「矢野さんの論文では、一部の困っている人への財政支援を肯定しています。そうでないような人を含めて、際限なく財政をばら撒くな、という趣旨のようです」

私の回答は以下の通り。

「矢野さんのおっしゃるとおりセーフテイ―ネットの確立は大事です。ただ、世界の格差拡大は、富裕層に富の蓄積が起こり、富裕層がより金持ちになったことによって起こっているのに対し、日本の格差は中間層の没落で起きているとは学者の統一見解です。今までは『自分以外の誰かのお金で。格差税制を」と叫んでいたのに、今後は、格差税制を続けていくためには、「貧乏な人のお金で極貧の人を助ける」ことが必要になります。パイが成長していないのですから

当然です。そうでなければ十分な財源はありません。富裕層は、この国では少数ですから、いくら富裕層税率を上げても税収総額は増えません。低所得層の留飲を下げるだけの効果です。さっちゃーの言う、人間のもっとも卑しい品性です。本日の日経新聞「大樹小機」の冒頭部分は秀逸です。「パイを同じ大きさに切ろうとすればパイ全体が縮小してしまう」(A・M・オーカン教授の有名な表現)

 

7.「日本ではインフレを経験した人が政治・行政・企業の現場にもういない昨日のマネックス証券松本大氏の『つぶやき』」

昔、マイクロソフト日本支社長の成毛さんとマネックス創業者(現会長)の松本大氏と仲良し3人組で「東京金融道」なる本を出したことがある。その松本大氏の昨日のつぶやきは「もしコロナ問題がなくなったら、世の中は、マーケットはどうなるのか?もちろん仮定の話ですが、最近の私の頭の中はそれで一杯です。そもそも人手が足りない、そして岸田首相は1人1人の収入を増やすべきだとも云っている。コロナが終われば飲食店も観光地も至るところで人手が足りなくなる。人件費プッシュ型のインフレが来そうな気がします。脱炭素の流れの中で、従来型の安定エネルギーの供給を減らしすぎてしまったので、世界的にエネルギーや資源の値段が高騰しています。これもインフレに繋がります。人流が増える。これもインフレ要因です。アメリカの金利が上がってきている、先高感があるので、お金がドルに向かい、円安傾向が強くなっています。これも日本にとってはインフレ的影響が出ます。

久し振りにインフレがテーマになるような、そんな気がします。しかも日本ではインフレを経験した人が政治・行政・企業の現場にもういないので、恐らくインフレが起きた時は対処の仕方が分からなくて、マーケットには過剰な反応が出るでしょう。不確定なことが多いですが、それでもやはり確定的なのは、大量に発行される債券(預金も同様)、そして金利が上がれば価値が下がる債券を買う(預金しておく)よりは、インフレ資産である株式や、発行量の限られているタイプの仮想通貨(暗号資産)を買う方がベターと思われるということでしょうか。(後)インフレは来るのか?ではなく、インフレはいつ来るのか?そしてインフレが来たらどうするのか?どう備えるか?これからも丁寧に考え続けたいと思います」。私がいつも日米ともに長期債を買う人の気が知れないというのは松本大さんの理由とほぼ同じです。