「米国がくしゃみをすれば」「ドル以外は全て売れ」「日本の金融システムは万全か?」他

2022年06月14日

1.「米国がくしゃみをすれば」

昔は「米国がくしゃみをすれば、日本は風邪をひく」とよく言ったものだ。昨日の米国金利の動きを見ていると、どうも米国がくしゃみをはじめたらしい。財政ファイナンスの結果、日銀が「超メタボ&財務内容が劣悪」であることを勘案すると、風邪が死(=中央銀行のとっかえ&現在の円は石ころ化)に至ってしまう可能性がかなりある。

 

2.「『ドル以外は全て売れ』-米大幅利上げ観測、株・債券など一斉売り

このタイトルだと私の発言だと思われるかもしれないが、違う。ブルムバーグの記事だ。

「ドル以外は全て売れ」がトレーディングデスクでは合言葉になった。予想以上の米インフレデータを受けて、米連邦準備制度が利上げを加速させるとの観測が強まった。「米インフレ率がピークを付けたという期待は打ち砕かれた」

「米国関連資産で売られないのはドルだけだ。ドイツ銀行の為替調査グローバル責任者、ジョージ・サラベロス氏(ロンドン在勤)はリポートで、「ドルは世界的なスタグフレーションヘッジの役割を担っている」と指摘した。」ドルのMMF のような超短期債と債券ベアファン(長期金利上昇で儲かるファンド)ドがよろしいようで。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-06-13/RDERR3T0G1KY01?srnd=cojp-v2

 

3.「日本の金融システムは万全か?」

本日の日経新聞1面トップ記事。全体としてはこのとおりだと思うが、1か所、気になるところがある。「現在、金融システムは強さを保ち金融不安に根ざす日本売りはみられない」というところ。日銀の長期債爆買いで円の長短金利差が無くなってしまったために海外の長短金利差を狙って海外進出した邦銀、特に弱小金融機関がピンチに落ちっているかもしれない点だ。ここまで長期金利が上昇してくると評価損が発生している可能性がある。短期金利の上昇で逆ザヤになる可能性も出てきた。なお、彼らはドル調達ドル運用だから円の買戻し等はなく為替には影響しないが、たえられなくなれば米長期債売却で日米金利差はますます開く、さらなる円安ドル高要因となる可能性はある。それにそもそも金融システムの大元の日銀自身の財務内容が危ういのだから、現在、「日本の金融システムは極めて脆弱」だと私は思うのだ。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB130OO0T10C22A6000000/

 

4.「ボルト(FRB)対ハイハイの赤ん坊(日銀)の100メートル競走」

昨晩のN Y 市場では一時、133円60銭レベルまで、ドルが買われていた(まだ時差ボケで、夜中のかなりの時間起きている)。ここまで米金利が上昇してくると、外国人は、日銀も金融政策を変えてくるとの発想が起きたようだ。日本国債先物も売り込まれていた。しかし、どっこい、日銀は金利を引き上げられない、せいぜい10年長期金利の目標を0.25%から0.30 %くらいに引き上げるのが関の山。利上げ競争は、ボルト(FRB)対ハイハイの赤ん坊(日銀)の100メートル競走のようなもの。金利差急拡大でドル円は、いずれ上っぱねるだろう。長期金利0.3%へなどの微小の利上げだと「なぜだ」との怨嗟と疑問が日銀を突き上げる。それに耐えられずに、日銀が一か八かで利上げをすれば、その時点で日銀と円は即死。日銀大ピンチ。

 

5.「サタデーナイトスぺシャル再来の可能性」

以下、昨日のブルムバーグニュース「ニューヨーク時間13日朝の米国債市場で10年債が大きく下落、利回りは約10年ぶりの水準に上昇した。米国のインフレ加速を抑制するため金融政策当局は積極的な利上げを迫られるとの懸念から、世界的に債券安となっている」

長期金利20%、FF レート24%を付けた1979年の「サタデーナイトスぺシャル」再来の可能性がかなり高まってきたと思う。ばらまいた資金の回収を目的として、金利はどこまでもうわっぱねようと、景気の一時的にいくら減速しようとやむなしとの考えだ。当時は財政ファイナンスをしていなかったが、今の米国も多少なりとも財政ファイナンスをやって当時よりもお金がジャブジャブ。日本は財政ファイナンスの巨大大出動でお金がジャブジャブジャブジャブ。お金を回収し終わるまで、このインフレは収まらない。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-06-13/RDF0D2T0AFB601?srnd=cojp-v2

 

6.「ドルは問題?」

昨日、以下のリツイートが私のツイターに来た。

「どうして、円だけをクローズアップするのでしょう?今回の事の本質は、円だけの問題ではなく、むしろドルが問われる局面だと憂慮しますが」

以下の通り回答した。

「FRB のバランスシートはGDPの1.3倍、一方、日銀は2.6倍、ダントツの世界一のメタボ。経済規模に比べて日銀はお金のバラマキ過ぎということ。ドルは世界の基軸通貨で世界中が欲するが、円は違う。FRB はまだ債務超過にほど遠いが、日銀は債務超過ギリギリ。ハイパーインフレは中央銀行の信用失墜で起こる」。