1.「一昨日のパウエルのハト派的発言で、日銀と円は自壊を速めた」
何度も言うが「逆説出来だが日本は景気が良くなったらおしまい」が一昨日のパウエルのハト派的発言で現実味を帯びてきた。円は紙屑化する可能性が一層高まった。
米国の利下げが実現するとなれば「日米株価上昇、米国経済の好転(米株の上昇に夜資産効果を含む)による日本景気の上振れ」等で、ますます日銀に対する利上げ圧力は高まり、長期金利も上昇するだろう。
日銀は窮地に陥る。資産インフレに関する新聞記事が多くなってきたことも日銀利上げのプレッシャーにつながる。
しかし日銀が圧力に負けて利上げをすれば日銀の膨大なる損の垂れ流しが始まる。マイナスのシニョリッジが長年続く。年間30兆円近くの金利収入があるFRBに対し、年間2.5兆円と10分の1以下の収入しかない日銀において巨額の損の垂れ流しは致命的だ。債券評価損も既に巨額だが、さらに膨れ上がる。
日銀の債務超過による日銀の自死だ。その発行する通貨は法定通貨で無くなる。法定通貨で無くなれば1兆円出しても1ドルさえも買えなくなる。
日米金利差などというみみっちいことでドル/円予想をするなどはデイトレーダーに任せ、何が、現在の金融、財政の重要ポイントかを見極めることが生き延びるうえで必要だ。
2,「パウエル発言は円にフェーバーなモノか?」
金曜日夜、私のX に以下のリツイートが来た。
「パウエルさんの鳩発言 日本にとっては渡りに船で良かったのかもと思ってます 金利上げずにドル安円高方向に向かうのは」
以下のように回答した。
「ただ、米国が利下げしたところで、日銀の財務が改善するわけでは全くないのでね。この状態において、いまだに日米金利差を気にしているピンボケなデイトレーダーか、根底の事態の変化(中央銀行の財務悪化)に気がつかずにプログラムを変更できていないAIトレーダーだけでしょう。爆損予備軍です」
3.「現在の円安進行の主因」
私のSNS の読者ならすでに十分すぎるほどお分かりかと思うが、現在の円安は通貨の刷り過ぎによる円の価値希薄化の結果だ。同じ理由ではあるのだが日銀の財務内容の悪化による日銀破綻リスクの表れだ。理由をはっきり認識している人はかなり少ないと思うが、実態はそれを反映している。
通貨は本来、国力を反映する。国力が強い国は株価が高く、金利が高く、投資機会も多いから経済低迷国からお金が流れこみ通貨高となる。国力を測るのはなかなか難しいから、その一つの指標である金利差で通貨の動きが、通常は分かる。
しかしその理屈には、各中央銀行が健全であることが大前提だ。
いくら国力が強くても、中央銀行が破産状態になればその国の中央銀行が発行する通貨は紙屑だ(中央銀行のとっかえ、または通貨のとっかへにより旧通貨は法定通貨で無くなる可能性が強い)
日本はこの状態。ましてや日本経済は40年間で世界断トツのビリ成長(=国力が弱い)である。円が強くなる要因は一つもない。(もちろん、マーケットだから多少の凸凹はあるだろうが)
4.「私が今現役のトレーダーだとしたら、今、何をするか?」
元日経記者の磯野直之さんが以下のツイートを書き込まれていた。
「消費者物価が3%以上上昇する傾向が続いている中、長期投資の視点で10年国債に魅力があるのだろうか? 確かに短期的に翌日物金利との間で利鞘を確保できるが、値下がり損が生じるリスクも大きい」
以下のようなリツイートを書き込んだ。
「私はトレーダーとしての現役時代、自分個人のお金を投資したくないものには仕事でも絶対に買わなかった。Jpモルガン時代の部下にもそのように口を酸っぱくして言っていた。しかし日本の機関投資家は配当金を出すために絶えずお金を何かに投資せざるを得ないので、インフレには到底追いつかず個人的には絶対買わないであろう低利の国債を買ってしまう。
もし私がいま、機関投資家のトレーダーだったらば預かった資金には全く手をつけず預金として放置、預かったお金の極1部をイニシャルマージンとして使用し、債券先物をショート、国債のプットオプションを購入、または金利スワップで固定金利の払い、イールドカップスワップのスティープン化、またはスワップションを購入する。その利益で配当金を生み出す。過激なレバレージを使うと言うことである。
なお、私は米銀のプロップトレーダーだったから、運用すべき預かり金は無かった。今の国債相場であれば、イニシャルマージンを短期市場から借りて上記の手法で勝負をしていただろう。
なお数日前に書いたテニス仲間の元野村会長氏家さんから「藤巻君は現役時代どのくらいのリターンを上げていたの?」と聞かれたことがあるか私はレバレッジ勝負でほとんどお金を使っていなかったから(当初の儲けで借りていたイニシャルマージン分を銀行間市場で返してしまえば後は全くお金を全く使わないで、利益を上げていた)から答えようがなくて困ったものだ。
日本の機関投資家や銀行トレーダーに、私が行っていたトレーディングの発想がないのは、時価会計が不徹底だからだと思っている。その辺は、いつか詳しく述べる」
5.「フジマキはTMV (債券ベアファンド)を処分してしまったか?」
昨日、以下のリツイートを私のX にいただいた。
「パウエル議長は利下げを示唆されましたが、藤巻さんは現在TMVをどうされているのでしょう? 既にポジション調整されてしまっているのでしょうか?」
以下のように回答した。
「いいえ。昨晩はパウエル議長発言の後、米国長期金利は下落(=価格は上昇)しましたが、本来株価の動きと長期債の価格の動きは逆方向のはずです。景気が良くなると思うなら株価が上昇し債券価格が下落するのが当たり前です。両者の価格がともに上昇すると言う事は世の中にお金が余っているという事。この状況下で利下げをすれば、インフレが加速する、すなわち長期金利は上昇するでしょう。また米国株式市場が最高値を更新し続けるならば、まさに資産効果で景気は加熱すると思っています。ならば長期金利は上昇。すなわちTMVの価格上昇の可能性はまだまだあると思ってます」
6.「トランプ完成の80兆円の米国へのと水は強烈な円安ドル高要因」
8月19日の産経新聞に「80兆円の投資『利益9割米国では、民間企業は投資しない』」 という渡邉美樹さんの論考が載っていた。
論考でいわく「藤巻さんは、いずれにしろ、このディール(取引)は、円を売ってドルを買うわけだけから、80兆円の投資は、確実に円安要因になると指摘する」
https://www.sankei.com/article/20250819-XZGLC6GY3ZE5RBNRHCYZL4JBSM/
7.「株主目線で徹底的な透明性が必要、が米国の徹底的な時価会計の理由」
昨晩、以下のリツイートを私のX にいただいた。
「会計士受験生目線だと、資産の時価評価の基準あたりの会計基準を改定すれば結構市場の効率性上がりそうな気もするんですが、間違ってますかね、、?」
以下のように回答した。
「根本的な会計の目的に誤解がありませんか?jpモルガンが徹底的な時価会計を採用していたのは、株主利益のためです。市場の効率性とかのためではありません。徹底的な透明性です。根底には、会社は株主のものとのコンセプトが徹底していたからでしょう。時価会計はその時点で企業が解散、破産をしたときに、株主にどの程度の資産が分配されるかの計算でもあります。100円で買った株や国債が20円に下落したときに破産した場合、簿価の100円で株価評価をしていた株主は想定外の損失を被ってしまいます。株売買する際にも、簿価会計だと適切なその会社の評価額と乖離してしまいます。なにはともあれ株主のための会計が時価会計です。
日本の企業の場合、会社の持ち主は株主ピリオッドではありません。企業経営者や労働組合政府等多くのステークホルダーがいます。特に力の強い企業経営者に忖度した(それは株主に対しては不利な場合がある)で会計(=簿価会計)が採用されます。その結果隠された損が明らかにせず、突然の倒産が起こった場合、株主が大損をするのです。株式の売買の際にも適切価格の株価でない場合も起こります。それは株式市場の発展にも望ましいことではありません。日本では時価会計の採用が徹底していない理由だと私は思っています。 JPモルガンでは会長のボーナスも我々トレーダーのボーナスもすべて時価評価で業績を計算されておりましたし、外にも公表しておりました。S ECの方針も徹底的な時価会計だったと思います」
8.「米国は危機からのたちなおりが早く、日本は遅い理由」
1989年の12月38,915円をつけた株価は(確か)7000円台代まで下落していきました。バブルの崩壊の後、日本は失われた30年と言われました。もうすぐ40年になります。リーマンショックを始めとする世界的ショックの時にも米国経済の回復は非常に早く、一方日本経済の回復は極めて遅くなる傾向にあります。 全部がと言うわけではありませんが、会計の問題が非常に大きな理由だと私は思っています。 時価会計ではその日に生じた損失はその日に計上されていますから、会長でもトレーダーでも損切りをするか否かの判断は今後のマーケットの状況のみの判断で行われます。一方、日本のように簿価会計ですと、損切りをするとは(それまでに計上されていない損失)を本日まとめて計上することになります。これが損切りするか否かの重要ポイントになってしまいます。社長が新しく変わっていた場合、なんで俺が前社長の失敗(=前社長時代に生じた評価損が実現存として表面に現れる)まで負わされて評価されるんだ、と言うことになってしまいます。トレーダーも同じです。勢い価格が戻るまで待とうとなり、損切りが遅れます。損切りができず評価損を抱えた状況では新しい投資をするガッツも社内コンセンサスもできません。昔、私が会計の雑誌に90年代の米銀の栄光は会計によるところが大きいと米銀で働いた経験から思っている、と書いた理由です。当時も今も、他には誰もそんなことを思っていないでしょうけれども。
9.「FRB の大赤字垂れ流しは大問題か?」
昨晩、以下のリツイートが私のX にきた。 .
「アメリカFRBは大赤字垂れ流してるぞ?いつドル崩壊がおきるんだ!どーなんだい!?お花畑大先生よっ!」
以下のように回答した。
「貴兄は30万タンカーに1トンの海水が入るのと1トンの漁船に300㎏の海水が入るのでは、タンカーに3倍以上の海水が浸水したからタンカーの方が危ないと思うのですね。私は漁船の方がはるかに沈没の可能性があると思いますが。FRB の損の垂れ流しは年間受け取利息に比べればわずかなモノ。FRB の年間受け取り利息は30兆円近く。日銀は2.5 兆円程度。お花畑生徒さんへ。わかりましたか?成績はG(落第のF 以下)
F でもいいのですが、日本語の使い方を知らないのでG (品性が感じられない)」
10,「国債費30兆円の意味するところは?」
昨日、以下のリツイートを私のX にいただいた。
「財務省が2026年度予算の概算要求で、国債費として30兆円前後を計上する方向で調整していることが22日、分かった。」このニュースを見て、そりゃそーやろうと思うと同時に、日本はホンマにヤヴァイと思った」
以下のように回答した。
「そうですよね。2025年度税収予想が78兆円程度ですから、税収の3分の1以上を過去の借金に関して支払わなくてはならないのだから大変なものですよね。長期金利がますます上がっていったら、税収の全てを過去の借金の経費で使ってしまうことになりますよね。それなのに減税やばらまきでまだ借金を増やそうとしようとしている。国債の元利金をどうやって調達するんですかね?紙幣を刷りまくるんですかね。馬鹿な。ハイパーインフレ間違いなし」
11.「労賃と物価は好循環をするのか?」
元日経記者の磯野直之さんが以下のツイートをご自身のX に書き込まれていた。
『パウエルFRB議長はジャクソンホールでの講演で、関税引き上げに伴う価格改定が一時的な物価上昇にとどまらず、持続的なインフレにつながるリスクに関して、「労働者が実質賃金の減少を理由に高い賃上げ率を要求し、実現させることで賃金と物価の悪循環が起きる可能性を吟味する必要があるが、労働市場が特に引き締まっているわけではなく雇用の下振れリスクがあるので、その可能性は小さい」と述べた。 賃金と物価は、物価上昇が止まりにくくなる悪循環の視点で議論するのが世の常。 日本だけ、「好循環」の空想が行われていたのに過ぎない」
以下のようなリツイートを書き込んだ。
「その通り。米国では物価上昇が止まるか否かを判断するために、労賃上昇率を気にしているのに日本だけは労賃上昇を政策目標にしている。他国においては労賃上昇はネガティブな指標。ここでも日本は異端」
12.「逆張りのフジマキ」
70%の人が雨が降ればドルは下がると信じていれば雨が降ると一時的にドルは下がる。その時にきちんとファンダメを見極めて下がったところで逆のポジションを取れるかが成功するトレーダーか敗北者になるかどうかが勝者、敗者の分かれ目。私が逆張りのフジマキと言われながらjpモルガンに巨額な利益をもたらしえた理由。日米金利差縮小は、上の例で言えば雨降り。
13.「絶対値と相対値」
昨日、以下の立位オートが私のX に来た。
「日本だけじゃなく米国の債務はどう考えますか? このままでは日米金利差の縮小で円高になりますね 日本のCDSは全く異常なしです」
以下のように回答した。
「何百回書いたらわかるのか?情弱ブリをそこまで披露されなくても結構。日米の債務問は程度が桁はずに異なる。CD Sはハイパーインフレのリスクを反映しない。ハイパーになっても保険金は支払われないから。
ド素人の教祖様の言うことを往信せずに自分の頭で考えましょうね。いわば200kgグラムの力士(米国)が30kg減量しても健康に問題ないから35kgの小学生(日本)が30kg減量しても問題ない言うようなもの。またその小学生は身長が変わってないから大丈夫だと言うようなもの(=尺度が違う)」