1.「日本の財政は国家の存亡を懸けた総力戦のさなか(日本日の日経新聞朝刊の日経新聞 上級論説委員 奥村 茂三郎氏)」
さすがに上級論説委員の奥村さん。
内容は私が30年近く警告してきた内容だが、要点をびしっと書いてある。若い記者とは格が違う。
「気がかりなのは消費税減税の支持者に「自国通貨建て国債ならいくらでも発行できる」「発行した国債は借り換え続ければいい」といった言説が広がっていること」「日本は額面、つまり名目上は債務を履行した。だが、戦後の激しいインフレで実質的な価値は失われ、戦時国債は紙くず同然になっていた」
「日本の財政は国家の存亡を懸けた総力戦のさなかにあると言ってもよい」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK1240A0S5A910C2000000/
2.「車関税税15%に上げで決着」
昨日の日経新聞夕刊の1面トップの記事タイトル「車関税15%の意下げ」はおかしい。違和感を感じるな~。日本経済には決して良くないニュースでワーストケースを避けられただけの話。2.5%だったものが、最終的に15%になったのだから「車関税税15%に上げで決着」が正しいタイトルではないのか?
近郊では坪250万円で取引されている土地を、市況がほとんどかわっていないのにもかかわらず売主から坪2750万円と吹っ掛けられた。それを「坪1500万円で買えました」と大喜びしているようなもの。新聞たるもの、それでいいの?
3.「資産バブルの様相なのに日銀は金利を上げられず」
今朝の日経新聞1面トップ記事
基準地価は4年連続で上昇し、3大都市圏の商業地は前年比7.2%の上昇だそうだ。株価も本日は幾分弱いが、史上最高値を更新中。資産バブルが始まっている様相。
それでも日銀は、第不況時かと眞一げるくらいの「極めて大きい実質マイナス金利」を維持、政策金利を上げようともしない。
今回も、何とか屁理屈を見つけ利上げせず、「いずれ上げる」という幻想だけでなんとか物価上昇を抑えようとしている。上げれば日銀自身にとんでもない債務超過が起き、極小金融機関も危険(金融システム危機)だからだ。
実質金利のマイナスの大きさと資産インフレでとんでもない物価高がやってこよう。日銀はなす術もなく、信用は失墜。日銀も法定通貨の円もとっかえざるを得なくなる。円は紙屑化。円しか持っていない人は地獄が来る。
バラマキと財政ファイナンスのツケはあまりに大きい。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA10D2C0Q5A910C2000000/
4,「澄田元日銀元総裁の反省に全く耳を貸さない植田日銀総裁」
以下、「(真説)バブル」(日経ビジネス編)」という本の中に載っているバブルのまっ最中に日銀総裁だった澄田智氏の回顧である。
澄田さんは大蔵次官を務めた後、日銀総裁になった方だがJPモルガン時代、私が中学・高校の後輩ということで何度か親しくお話させていたこともわが社のパーティーに来ていただいたこともある。
「資産バブルを軽視してはいけない」と僭越ながらお話ししたこともある。
その澄田元日銀総裁の回顧録。
「私は中央銀行の第一義的な使命は通貨価値の安定だと考えていました」
「確かに87 年頃から東京の地価は2ケタの上昇率を示し株価もかなり速いペースで上昇していました。それなのにすぐに金利引き上げを実行しなかったのは、後から考えると、認識が不十分だったと答えるしかありません。そもそも消費者物価などの指標があまり過熱していないの、のちにバブルと呼ばれる資産価額だけが上昇する現象は、日本では初めてのことで、世界でもそれまで指摘されていなかった現象でした。何よりも物価上昇やインフレといった言葉はあっても、バブルという言葉はなかったのです。
ただ土地や株、それに書画や骨董といった資産の価格だけが急激に上昇している意味を早く抜けなかったことについては、私がその責めを負わなければならないと思っています」
引き締めが遅れた日本は「失われた30年」を迎えてしまった。
現在、消費者物価指数が主要国で最も高いのに最も低い政策金利。そして株や不動産のバブルのにおい。それにもかかわらず、屁理屈を述べて動こうともしない植田日銀総裁。これは動けば、日本銀行と金融システムがおかしくなるから、動けないのだ。
そうではなくて、経済状況を見ながら金利を引き上げないのなら、先輩の反省を無視する無責任の最たるものだと思う。澄田元総裁の何十倍もの責めを負わねばならなくなる。