「保有国債など200年たっても、300年たっても償還出来ない」「かつてのミニマムリザーブに戻すことが不可能だとどうなるか?」「中央銀行が持ってはいけないはずの株からの収益で何とか持っている日銀」他

2025年09月22日

1.「無茶苦茶な中央銀行」

株ETF の正常化に110年以上、REIT正常化には130年以上かかることが金曜日に明確になった。しかし保有国債に関しては微速前進の購入額減額は公表したものの日銀当座預金をミニマムリザーブまで落とすほどの保有額減額に何年かかるのかは一言も触れていいない。

私が参議院財政金融委員会で何度も「出口を示せ」と要求したのに「時期尚早」と逃げまくり開示しなかった、巨額過ぎて誰も考えられなかったからだろう。短時間に正常化に持っていける方法を見つけ出した人などいまだ聞いたこともない。・

保有国債は株ETFや不動産REITより桁外れに保有額が多いから考えるだけで気が遠くなるからだ。最低200年から300年はかかるだろう。

伝統的金融論は、基本のキとして「中央銀行たるもの通貨の信用を守るために、価格が大きく上下する金融商品を保有してはいけない」と教えているが、株ETF ,不動産RIET、長期国債は全てこれらの金融商品に該当する。そんな中央銀行とその発行する通貨がいつまでも存続可能だと思うのか?

もっとも、植田総裁はじめ、皆ハイパーインフレでガラガラガラポン(=日銀も崩壊している)だからそんなこと考える必要ないと本音では思っていると邪推する。

ちなみに私が銀行員だった2000年までは日銀は基本的に約束手形とか3か月未満の短期国債とかしか購入していなかった。伝統的金融論の教えをきちんと守っていたということ。

 

2.「保有国債など200年たっても、300年たっても償還出来ない」

昨日、以下のリツイートが私のXに来た。

「もちろん流動性がおかしくなるほど日本国債を買う時点でアグレッシブだったんだけど、最悪放置すれば償却されるって安心感はあったんだよなぁ。 ETF買いの出口を考えてなかったってのが露呈したのは本当に衝撃的」

以下のように回答した。

「何度も言うが政府には満期が来た国債を償還する原資がない。借換替債を発行してその原資とする。金利が80%くらいまで上昇しないと買い手(ほぼ外国人だけだろうが)は現れない。そうなると長期金利上昇で日銀も政府もつぶれてしまうから、日銀が借換債を買って償還資金を供給するしかない。よって200年たっても、300年たっても償還出来ない。だから何年たっても出口から出る指針をしめせない。(株やRIETは 110年や130年など、とんでもない年月だが 償還する年月が計算できるだけまだまし)

 

3.「かつてのミニマムリザーブに戻すことが不可能だとどうなるか?」

元日経新聞記者の磯野直之さんが以下のツイートをX に書かれた。

「植田日銀総裁にとって、①中央銀行は株ETFやREITを一切保有すべきでない②ETFやREITを急いで処分して相場を崩すことは避けたいーーという連立方程式の解が「100年以上かけて」だったのだろう。何世代も先のこととはいえ、ETFとREITの最終到達目標はゼロだと示したが、量的金融緩和の本丸、国債については減額の最終目標がどこか、日銀は示していない。 日銀は、かつてのミニマムリザーブ(日銀当座預金を準備預金の所要額ぎりぎりに抑える)に戻すことには否定的。日銀券ルール(保有する長期国債を日銀券発行残高以内に抑える)を復活させることもなさそう。しかし、どこまで何を根拠に減らすのか。 量的金融緩和は偽薬のようなもので本質的な効果はなかったと総括するのなら、大量の国債保有の悪影響も小さいが、量的金融緩和に物価押し上げの効果があったのなら、インフレ対策として保有国債の減額を急がないといけない。それに、価格変動リスクが特に大きい超長期債などはたとえ少額でも中央銀行が保有すべきでないと考えられるのに、今なお新規に買い入れている。 日銀が期間が長い国債を大量保有することで長期金利は低く抑えられ、イールドカーブにゆがみが生じている。 まさか、Ⓐ保有国債減額の終着点についてはノーアイデアⒷ償還される保有国債の額より新規に購入する国債の額を大幅に抑えて債券相場が崩れるのは避けたいーーか?」

以下のリツイートを返した。

「磯野さんがおっしゃっている通り日銀は日銀当座預金残高をミニアムリザーブまで戻す気は無いようです。戻すことにしたら100年200年どころの話はなくなるでしょうから、そう言わざるを得ないのでしょう。しかしながら、ミニアムリザーブに戻せないと言うことは伝統的な政策金利誘導手法に戻れないということです。したがって非伝統的政策金利誘導手法、すなわち未来永劫、日銀当座預金への付利金利を上下することによってしか政策金利を誘導することはできなくなります。他国中央銀行は時間がかかろうとミニマムリザーブへの回帰を目指しているはずです。

日銀は世界で唯一、非伝統的誘導手法を取る稀有な存在となるでしょう。 伝統的政策金利誘導手法ではまず毎年プラスのシニョリッジ(通貨発行益)が生まれ、中央銀行の財務は極めて健全ですが、非伝統的なものではマイナスのシニョリッジが発生し、中央銀行に債務超過が生じるリスクが出てきます。

そんなリスクを負いながら存続し続ける中央銀行はありえないと私は思います。  このため日本では伝統的政策金利誘導時代には到底あり得なかった債務超過リスク、中央銀行の崩壊を近未来に目の当たりにすることになると思うのです」

 

4.「株ETF 37兆円も莫大な金額」

一昨晩、以下のようなリツイートを私のX にいただいた。

「しかし、大した金額も供給できなかったのに何でETFなんて買っちゃったんだろう。ハイリスクローリターンすぎたよな」

以下のように回答した。

「たしかに、それはそうなのですが国債保有額の580兆円が、ばかでかいから、37兆円ものETFがたいした金額でないように見えるのです。37兆円とは、どでかい金額です。逆に言うと日本国債をいかに異次元に保有しているかということです。なにせ発行国債の半分以上なのですからね。

何はともあれ、今の日銀は伝統的金融政策から大胆に逸脱したとんでもない存在である点だけは認識しておいた方がいいと思います」

 

5.「中央銀行が持ってはいけないはずの株からの収益で何とか持っている日銀」

一昨日、以下のリツイートを私のX にいただいた。

「日銀の収益は半分をETF運用益に依存していると思います。 これを失った時、円の価値は根拠を失わないのでしょうか? ウォール街の株価下落、それは円の崩壊に直結しているように思いますが如何ですか?」

以下のように回答した。

「そのとおりです。だから馬券で当期純利益の赤字を回避している大企業と同じだと私は言っているのです。 世界で株などを持っている中央銀行は他にない(スイスの中央銀行が他目的で少額保有しているのを除けば)。価格が上下して債務超過を起こすような危ない金融商品には絶対に手を出してはいけないのが中央銀行としての常識。それなのに日銀は日本一の大株主」。

 

6.「日銀が保有株を全部売る何か良い方法があるか?」

一昨日、以下のようなリツイートが私のX に来た。

「しかし、(保有株を)急に全部売るわけにもいかないのでは? 何か良い対案はありますか?」

以下のように回答した。

「ない」

 

7.「異次元緩和は、きちんと出口を出てから評価が定まる」

昨晩、以下のようなリツイートを私のX にいただいた。

「日経新聞のこのタイトルはミスリードですね・ 自分は白川前総裁が言っていたのが本当の出口だと思います。 きちんと日銀の保有国債を適正なレベルまで落としてこその出口。 それまでは評価は定まらないと仰っていましたよね・ 出ようとしているが長期金利は上昇、インフレも亢進で出口が見えないのが現状ですよね」

以下のように回答した。

「そうです。白川元日銀総裁は、退任会見の時『異次元緩和は、きちんと出口を出てから評価が定まる』とおしゃっていましたね。失敗することは正統派金融論を学び実務についていた人にとっては明確に予見可能だったということです。  ド素人の教祖様やなんちゃって経済学者の影響をきちんと拒絶できなかったのが今の日銀の惨状です。終身雇用制の仕組みのもとでは将来の出世や天下り先等が気になって正々堂々と反論できなかったのかもしれませんが」。

 

8、「私が過激なのではなく日銀が過激」

昨日、以下のようなリツイートを私のX にいただいた。

「失礼しました。直前の方の投稿がどう見ても国の債務の話だったので。はっきり言って藤巻さんは知識の乏しい人にも刺さるよう、過激な表現を多用する傾向があるのは確かですね。 私は同氏の見識に敬意を持っており、理屈に納得できれば特に気になりませんがアンチの方はきっと違うのでしょうね」

以下のように回答した。

「私が過激なのではなくて、日銀が過激なことをやっているので、結論が過激になってしまう点はご理解ください」

 

9.「民間金融機関が債務超過になれば取付け騒ぎは起こりうる」

昨日、以下のようなリツイートが私のX に来た。

「要するに藤巻さんは前提の設定が網羅的で無いのに推論が極端だから、いつも外れるんですよ この程度で取り付け騒ぎは起きません。」

以下のように回答した

「私はこの程度で取り付け騒ぎが起こるなどとは一言も言っていないが。

民間機関の取り付け騒ぎは、(時価会計ベースで)債務超過になれば十分起こりうるとはいっている。なにせ時価会計とは「その時点での解散した場合のネット資産額の計算」だから。

借金返すお金が、資産全部を売却できたとしても、足りなくなるのだから、人は自分のお金を守るために他人より先に預金を引き降ろそうとする。今はまだ債務超過になっている金融機関が少ないか公開されていないから平穏だが債務超過になった機関があれば取り付け騒ぎは充分起こりうる」

 

10.「同じ円という言葉を使っていても旧円(現在非法定通貨)と新円(現在法定通貨)とは別の通貨」

100年後、日本は円を使っているんでしょうか? 明治初期から使っているそうですが、それ以前は違ったのでしょう」

以下のように回答した

「同じ円という名前を使っているから、間違いやすいが、日本では戦後(確か5円以上の)通貨を法定通貨では無くし、新しい法定通貨を導入した。昔の法定通貨でない円を『旧円』、今の法定通貨を『新円』と言った。通貨は全く別のモノに変わった、ということ。なにせ旧円は既に使えない紙屑だからだ」

 

11.「日銀は満期を待っていれば保有国債残高は勝手に減っていくのか?」

昨日、以下のようなリツイートを私のX にいただいた。

「国債は満期が来たら償還されるんで売らなくても勝手に無くなりますよ…..(あれこの人国債の専門家じゃなかったっけ??)

以下のように回答した

「なんたる情弱者。この毎年の大幅赤字予算で、どうやって返済資金を集めるのか?大増税?増税が出来なければ償還(10年国債は10年たてば保有者に返さねばならない)のための資金集めのために借換え債を発行しなければならない。この12年間、(新発債+借換債)の60%から90%を買ってくれた日銀がいなくなれば、誰に売りつけるのか?金利が80%くらいになれば買ってくれる人も現れるだろうが、そうなれば莫大な支払金利で予算が組めない。結局、日銀が借換債を買わざるを得なくて200年たっても300年たっても日銀の保有国債額は減らない(=どんなに物価が上昇してもお金はバラマキっぱなし)。

 

12,「中央銀行への信用が一たび失われれば円は暴落、紙くず化」

昨日、以下のようなリツイートを私のX にいただいた。

「財務体力の弱い金融機関の統合合併はこれからも起こるでしょうね どちらかと言うと為替について伺いたい。金利上昇と資産価値目減りにより日銀のバランスシートが債務超過に陥ったとして、 これだけ外貨準備があり経常収支大幅プラスの日本で、 政府が介入しても防衛できない程の円安はあり得ますか?」

以下のように回答した。

「ある。中央銀行の信用が失墜すれば、その発行する通貨の失墜はあっという間に起こる。 以下2018年10月20日日本金融学会での雨宮日銀副総裁(当時)の講演。 『もちろん、中央銀行への信用が一たび失われれば、ソブリン通貨といえども受け入れられなくなることは、ハイパーインフレの事例が示す通りです』」

 

13,「ハイパー^インフレは戦争でなくても起きる」

本日、以下のようなリツイートを私のX にいただいた。

「供給破壊が起こらなくても、通貨量を1京倍にしたら、ハイパーインフレは起こるでしょう」

以下のように回答した。

「そうですね。国会では、『ハイパーインフレは戦争では怒らないという議論は間違い』と何度も主張していたら日銀も大臣も『戦争以外でも起きる』と修正しましたよ。当たり前です、BOE の論文にも書いてありますし、学界では常識ですから。そう主張しているのはド素人のブードゥー経教祖様だけ」

 

14.「共産党の参議院財政委員会大門委員」

本日、以下のようなリツイートを私のX にいただいた。

「大門先生と藤巻先生は、ご意見が一致してますね。この点では、、、でしょうか」

以下のように回答した。

「大門さんとは意見があっていましたよ。『「大門さんが共産党じゃなければ、私たちは大の友達になれるのにね」といつも彼に言っていました(笑)」

その後、以下の返信が大門さんからいただいた。

「御意」

 

15,「絶対値と相対値は違う」

本日、以下のようなリツイートが私のX に来た。

「長期金利上昇で言うと、アメリカは5%を超えていると思いますが、アメリカはつぶれてしまう、日本はまだ長期金利1.5%前後でしょう、アメリカが先につぶれるのでは、私は藤巻さんにアメリカの債務についても語ってほしい」

以下のように回答した。

「新生児が1週間で1Kg体重を落とすとスト生命の危機だと思い大いに心配するが、そんな時に大の里が体重1キロ体重を落としても大丈夫か?と聞かれても答える気にすらならない。何度も言うが絶対値と相対値は違うということを学ぶこと」

 

16.「小泉和弘さん指揮の都響コンサート@サントリーホール」

一昨日は追っかけをしている「小泉和弘さん指揮の都響コンサート@サントリーホール。皆が一度は聞いたことがあるだろう小品8曲だったが、多くが第4楽章のように盛り上がっている作品でマエストロもお疲れになったことだろう。

最後のエルガー;行進曲「威風堂々」じゃロンドン転勤中に何度も聞いた曲だし、ディーリングで負けていた日の朝は、いつも、この曲と、チャイコフスキーの序曲「1812年」を聞きながら出勤し、自分を鼓舞していた曲だけに、選曲してくださったのはうれしかった。

サントリーホールでは、予想通り、高校時代のテニス部で1年先輩だった小平さん

(元日銀、その後私がJP オルガン生きていただいた菅野さんと同期)にご挨拶。。小平さんは、50年以上毎回、同じ席(サントリーホール、東京文化会館など)で奥様と一社に聞いているそうだ。大学は京大(大学紛争で東大入試なし)だが修士以降は東大に戻ってきた原子力の専門家。

 こ2 こ1

17.「原子力といえば」

原子力と言えば、数日前、東大の中西友子さんが放射線を使った植物研究でスウェーデンの科学賞受賞を重唱したというニュースが朝日新聞に載っていた。おめでとうございます。中西友子さんとは小学校からの同級生だ。

我が校は学者や役人に行くのが主流派であり尊敬されていた。私みたいにギラギラした世界にいった人間はコースを踏み外した人とみなされていた。
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